新たにビジネスを始める際には、その業界の現在の動向を詳しく調べて、資金調達やビジネスを成功させるための入念なリサーチが必要になります。
ジム経営は儲かると言われる業種ですが、適切な場所に適切な規模の店舗を設置し、ターゲットにする顧客のニーズに合わせた会費の設定やマシン・プログラムの提供を行う必要があります。
本記事では、ジム経営の市場動向や儲かる仕組み、ジム経営に失敗しないためのポイントについて解説します。
ATカンパニー株式会社
ATカンパニー(株)は、FC営業代行支援会社として2009年に創業。
乳幼児教室「ベビーパーク」をFC店ゼロから、約2年半で220加盟開発。
放課後等デイサービス「ハッピーテラス」をFC1号店から、約2年で101加盟開発
現在は、女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」の支援に注力し、全国に出店拡大中。
目次
ジム経営が成功した場合の、年収の目安を見ていきましょう。ジムの規模にもよりますが、例えばパーソナルジムの場合、週2回、2か月通えるプランを20万円で提供します。新規の会員が毎月5人ずつ増えていくと年間で60人となり、利益は1,200万円になります。
個人経営の場合は、スペースをマンションの1室程度で抑えられるため、利益は年間250万円〜300万円程度の賃料を差し引いた1,000万円程度が見込めます。
近年のジム経営の市場動向をチェックしていきます。ジムの形態は大きく分けてジムやスタジオ、プールなどが利用できる総合型クラブ、ジム・スタジオ型クラブ、小型ジム、スタジオがあります。
ジムのビジネスモデルによって、顧客のニーズは大きく変動しているようです。
総合型のフィットネスジムの会員数は近年減少傾向にあります。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2019年のフィットネスジムの会員数は336万人、売上高は3,347億円でした。2020年は会員数が268万人と大きく減少、売上高も2,235億円と落ち込みました。2021年には、売上高は2,450億円と若干回復しましたが、会員数は257万人とさらに減少しています。
総合型のジムが伸び悩んでいるのに対して、24時間営業のジムやセルフジムの店舗は増加傾向にあります。24時間営業やセルフジムは、自分の都合のいいときに自由に通えるため、多様な働き方をする人でも無理なく通える点が現代のニーズとマッチしていると言えるでしょう。
シニア層やキッズ向けプログラムの需要もまっています。中高年のジム通いは一般的で、時間にもお金にも余裕のある世代が健康で長く人生を楽しむためにジムを利用していることがうかがえます。
今後も高齢化社会は進むため、介護の予防を目的とした中高年のジムの利用も増えていくでしょう。
また、水泳やテニス、体操など児童向けのジムのプログラムもニーズが高まっています。運動能力の向上を目的としてジムを利用する子供が増えているためです。また少数ではありますが、キッズを対象としてパーソナルジムもあり、ジムの成長分野としてキッズ向けのサービスは期待が持てるでしょう。
ジムを開業する際に必要な費用を詳しく見ていきます。ジム経営の場合、ランニングコストよりも、開業前の初期費用の方が高く必要になるケースが多いようです。ジムの規模によって必要とする資金が変わるので、実現可能か詳細な計画を立ててみてください。
まず、ジムをオープンするための物件取得費が必要になります。パーソナルジムか、マシンを中心とした小型ジムか、さまざまなプログラムを揃える総合型にするのかによって、借りる店舗の規模も異なります。
個人で経営する場合は住宅用の物件を借りることも可能ですが、一定の規模のジムを開業する場合は貸店舗や貸事務所を借りなければなりません。物件によって異なりますが、保証金が賃料の6ヵ月程必要になります。
店舗の内装工事の費用や、機材費もかかります。導入したいマシンの数や、男女の更衣室のスペース、鍵のかかるロッカーの用意も必要です。ジムの規模によって、トレーニングの場所との比率を考えて室内のデザインや配置を決めてください。
会員がスムーズにジムを利用できるように、システムを導入する必要があります。チェックインやチェックアウト、プログラムの予約、さらに会員情報の管理や会計システムなどもあると便利です。
個人経営のジムであれば、タブレットを使った中小企業向けのシステムでも十分ですが、多くの会員を集客するつもりであればシステム費用は高額になります。
会員数を増やすための宣伝費も必要です。Webサイトやチラシ作成、最寄り駅の広告スペースを利用するなど、さまざまな方法でジムの存在をアピールしなければいけません。多くの人にジムの存在を知ってもらう工夫が必要です。
パーソナルジムの場合は必要ありませんが、ジム経営のランニングコストでは、人件費の割合が大きくなります。トレーナーや受付のスタッフなど、何人雇うとどのくらいの経費がかかるのか計算しておきましょう。
資格を持つトレーナーや経験豊富なインストラクターを確保する場合は、当然人件費も高くなります。
光熱費もジム経営のランニングコストの1つです。会員が快適に運動できるよう年間通して適度な室温を保つ必要があります。
また、プールやジャグジー、シャワールームなどを併設する場合は、さらに高額な光熱費が毎月かかってきます。
ジム経営がなぜ儲かるのか詳しく仕組みを見ていきましょう。儲かる仕組みが分かれば、初めてジム経営をするときも、適切にビジネスプランが立てられます。
ジム経営は粗利益率が高いビジネスです。ジム経営の場合、売上原価となる商品などは扱わないため、必要な経費が限られています。
ジム経営に最低限必要な経費は、賃料、水道光熱費、人件費、広告費のみです。また、顧客単価を高く設定できる点も粗利益率を上げています。
会員数に応じて見込み収入や必要となる経費の計算がしやすいため、ジム経営が初めての人でも管理しやすいビジネスと言えます。
ジム経営の収入は、ジムの会員が支払う会費が主な利益です。銀行引き落としやクレジットカード決済にしておけば、会員がジムに通い続ける限り自動で毎月定期的な収入が見込めます。また会費の価格を変更しない限り、安定した収入の見通しが立ちやすい点もポイントです。
ただし、プライベートジムやダイエットを目的としたジムの場合は、長期で継続して通う会員が少ないため、安定した収入が得られるとは限りません。
ダイエットやスタイル改善・維持のためにジムを利用する人だけではなく、健康志向の高まりによって、生活習慣病の予防や筋力維持などを目的として習慣的に運動をする人も増えています。
特にテレワークの普及により、出勤する回数が減ったり通勤時間がなくなって余暇に使う時間のゆとりが増えたりしたこともジム通いの後押しをしているでしょう。
ジム経営に失敗しないための5つのポイントをお伝えします。ジム経営は儲かると言われていますが、しっかり戦略を練って顧客のニーズに合ったものを提供しないと失敗する可能性があります。
事前に詳細な事業計画を立ててください。
ジムを開業する地域や立地を選びましょう。ジムが少ないエリアなら、多くの集客が見込めます。
また、会員が通いやすい立地を考えて物件を探すことも大切です。都心部やオフィス街ならば駅近が重要なので、徒歩5分以内が理想的です。住宅地や駅から距離がある場合は、駐車場がある方が会員は通いやすくなります。
駅近の物件は当然賃料も高くなりますが、通う顧客の利便性を考えて予算とバランスが取れるところを選ぶといいでしょう。
質の高いトレーナーと契約しましょう。特別な資格がなくてもジム経営はできますが、フィットネス関連の資格保有者や経験のあるトレーナーがいる方が、会員の満足度も上がります。
資格や経験のあるトレーナーは、Webサイトにプロフィールを掲載するときに記載しておくと分かりやすいでしょう。
またコミュニケーション力が高いトレーナーも会員との関係を深められるので継続して通ってくれるきっかけ作りに役立ちます。
「ジム開業にあまり費用をかけられない」「どのくらいの会員数が見込めるか不透明」という場合は、ジムの規模を小さくして初期費用を抑えて経営するといいでしょう。規模を小さくすることで、賃料や人件費、光熱費などほとんどすべての経費を抑えられます。
最初から大規模なジムを作ってしまうと、想定していたよりも集客が見込めず経営が立ち行かなくなってしまう可能性があります。
まずは小さい規模で始めることを検討してみてください。
ジムを開業するエリアの利用者に合わせて単価設定をしましょう。単純に収支のバランスだけを考えてもうまくいきません。
住宅街で比較的高齢者が多いエリアなら、低めの入会金や平日の昼間通い放題のプランを手頃な価格に設定するといいでしょう。会社帰りの人をターゲットにするなら、パーソナルトレーニング24時間営業にして料金を高めに設定しても集客できる可能性が高くなります。
顧客のニーズを反映した料金にすることが大切です。
フランチャイズに加盟すれば、フランチャイズによる知名度を得られ、本部から経営に関するノウハウやサポートも受けられます。
さらに、ジムを開業する立地や用意するべきマシンの種類、宣伝方法など幅広い面でアドバイスをもらえます。トレーナーを雇う場合は、フランチャイズ本部から人材育成のノウハウも教わるといいでしょう。
ジム経営は、粗利益率が高く会員の会費による安定収入が見込めるため、儲かる業種と言われています。若い人だけではなく高齢者や児童なども健康志向の高まりによってジムで運動やトレーニングをする機会が増えているので、ニーズに合わせたサービスを提供することで、収益アップが見込めるでしょう。