ATカンパニー株式会社
前代表取締役
浅野 忍土
フランチャイズ・ストラテジスト、浅野忍土が監修。
銀行、ITベンチャーを経て、FCコンサルティング会社であったベンチャー・リンクへ入社し、フランチャイズビジネスに携わる。
8年間、チェーン展開支援を主とした業務に従事し、牛角、しゃぶしゃぶ温野菜、土間土間、銀のさら、タリーズ、カーブスなどを多店舗展開。
結果1,500店舗以上のチェーン展開に関与。
その後、独立し、ATカンパニー(株)を創業し、FC展開を支援。
さらには女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」FC本部を設立し、自らFC本部も経営している。
フランチャイズを活用し、ビジネス展開を考えている企業がフランチャイズシステムを活用する際に何を注意すべきか?
に関して、解説したいと思います。
1. そもそも何の為にフランチャイズシステムを活用するのか?
を考える。
2. フランチャイズ展開を行うに相応のノウハウを保有している
のか?を分析する。
3. フランチャイズ本部の展開方法は大きく分けて2つあることを理解する。
この3点に関して、解説します。
1.そもそも何の為にフランチャイズシステムを活用するのか?を考える。
これは大変重要な視点です。フランチャイズ展開の相談に乗る際に、お聞きするのがこの質問です。
多くの方が漠然とフランチャイズシステムを活用すれば成長できるのでは?とお考えです。
しかし、それはフランチャイズでなくとも、直営展開やのれん分け、ライセンス展開でも、同様に成長という観点だけで見れば、可能であります。
つまり、なぜフランチャイズシステムでなければならないのか? この点を突き詰めて考えられているのか? この点を検討することが大変重要です。
フランチャイズは経営ノウハウと人的資源、物的資源、そして資金を等価交換し、一気にビジネスを拡大する手法の一つです。
見方を変えれば、資金調達の一つとも言えます。
よって、良いビジネスであれば、フランチャイズでなくとも、ベンチャーキャピタルやIPO、その他手段による資金調達は可能とも言えます。
2にもつながることですが、自社にしっかりとしたノウハウがなければ、フランチャイズ展開は成功しません。
その点で、売れるノウハウをしっかりと保有しているのか?を分析すること。これが2番目に大切なことです。
これは競合との比較においても、差別化が実現されているのか、分析する必要があります。
以前にも相談に来られた企業様のご相談に乗った際に、自社には他社と大きく異なる経営ノウハウがあるとのお話でしたが、
結局、突き詰めてお話をお聞きし、その場で他社との比較を行ってみると、さほど差別化されたノウハウがないとの結論となりました。
差別化されたノウハウは、幾つかの視点が必要で、昨今ではWEBマーケティングのノウハウは差別化の要素として、絶対的に必要な要素です。
他社プラットフォームに依存せず、独自の集客ノウハウを保有しているのかどうか、この点をしっかりと見極めることが必要です。例えば美容系店舗事業で、美容系の集客媒体や集客プラットフォームに依存し、年間数千万円レベルで販促費を投下している場合、他社媒体、プラットフォームに依存している限り、強みがあるは言えません。独自に既存のプラットフォームに依存しないマーケティングノウハウを確立した場合、そこにはノウハウがあると言えます。
最後に、注意すべきはフランチャイズ本部の展開方法は大きく分けて2つあることです。一つは、フランチャイズ加盟開拓を重視し一気に立ち上げる方法。もう一つは、直営を重視し着実に立ち上げる方法です。前者は加盟金収入を全て本部構築に回しながら、一気に立ち上げていく形であります。後者は直営出店を主体として、全体として安定的な収益基盤を構築し、その上で一定の体制作りを行った後に、フランチャイズ展開を行う方法です。それ以外にいくつかのパターンは存在しますが、大まかに分けてこの2つの展開がよく見られる形です。どちらか一方が正解という事はありません。どちらの方法も難しさや課題は存在します。自社の考え、価値観にあった展開方法にて、事業立ち上げを行っていただきたいと考えております。