ATカンパニー株式会社
前代表取締役
浅野 忍土
フランチャイズ・ストラテジスト、浅野忍土が監修。
銀行、ITベンチャーを経て、FCコンサルティング会社であったベンチャー・リンクへ入社し、フランチャイズビジネスに携わる。
8年間、チェーン展開支援を主とした業務に従事し、牛角、しゃぶしゃぶ温野菜、土間土間、銀のさら、タリーズ、カーブスなどを多店舗展開。
結果1,500店舗以上のチェーン展開に関与。
その後、独立し、ATカンパニー(株)を創業し、FC展開を支援。
さらには女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」FC本部を設立し、自らFC本部も経営している。
新規事業への進出は大きなビジネスチャンスの獲得機会であると同時に、多くの場合、立ち上げに際しては多大なる費用と時間、労力、そしてリスクが伴います。
ここでは、フランチャイズ事業の新規検討にあたって最適な選択をするための、「初期投資および事業計画を見るうえで注意すべきポイント」について解説します。
さまざまなフランチャイズビジネスの中には、初期投資を低く見せようとして費用項目を入れなかったり、費用設定が甘かったり、過大な売上想定をするフランチャイズ本部が存在します。誤った情報により誤った経営判断をしてしまわないよう、同業種を中心にできるだけ多くのフランチャイズ本部を検討し、提示される事業計画を下記の観点をもとにして、しっかりと比較検討していきましょう。
以下に、初期投資および事業計画を見るうえで注意すべき重要ポイント4つを挙げます。
(1) 初期投資概算の確認
(2) 売上構成の確認
(3) 販管費の妥当性確認
(4) 収益性の確認
(1)初期投資概算の確認
例えば店舗型ビジネスであれば、想定される物件取得費が適格に設定されているか。また、内外装・厨房機器・什器備品等の施工・購入費用が妥当な金額できちんと計算されているか。さらには、事業立ち上げの際に必要となる費用である開業前家賃や広告宣伝費、人材採用費や開業前人件費等について、実績に基づく詳細まで記載されているか等までしっかりと確認する必要があります。
(2)売上構成の確認
当該事業をその場所でおこなった場合の、想定売上についての妥当性を確認する必要があります。その事業の客単価や想定される客数の確認はもちろんのこと、地域性や立地特性なども鑑みた、根拠をもった売上構成であるかどうか、確認するべきです。
(3)販管費の妥当性確認
事業計画の販管費のうち、項目の抜け漏れがないか、甘い金額設定の項目はないか、確認することが重要です。人件費は事業をおこなう当該地域において適正かどうか、売上を作るために必要とされる販売促進費が過小ということはないか、細かくは水道光熱費や使用される消耗品の数や単価に至るまで、できる限り詳細にしっかりと確認をすることが必要となります。
(4)収益性の確認
減価償却費が事業計画に反映されているかどうかを確認したうえで、キャッシュフローおよび償却後の利益がしっかりと確保できるかどうか検討する必要があります。また借り入れをおこなってその事業をおこなう場合には、事業計画に返済期間や金利等の返済計画を織り込み、その収益性について確認しましょう。
事業開始前の計画の段階で作成する事業計画である以上、事業に取り組んだ結果、さまざまな要因により当初の予定と数値が乖離することは当然にして起こりえます。そういった意味では、完全な事業計画を作成・提示できるフランチャイズ本部というものは存在しません。事業進出するかどうかの最終判断は自己責任であるため、フランチャイズ加盟検討する場合、可能な限り細部にわたり事業計画をしっかりと見極め、判断する必要があります。