フランチャイズのためになる企業インタビュー vol.3 伸びるFC本部・加盟店、伸びないFC本部と加盟店の特徴 2015.5 ディライト・ジャパン 川上健一郎 × ATカンパニー 浅野忍圡

フランチャイズ本部が成功する為に必要なポイントは、社会性と経済性の両輪

浅野

本日はよろしくお願いします。お互いにFCビジネスを支援する立場として、いろいろとお話し出来ればと思います。

川上

よろしくお願いします。

浅野

先ずは川上さんの経歴を教えてください。

川上

大学在学中から携帯電話販売の営業会社にて営業職に従事し、そのまま就職しました。その後、家業の造船業を経て、2001年にフランチャイズ事業を展開する長谷川興産株式会社に入社しました。これがフランチャイズとの出会いです。

浅野

長谷川興産さんでフランチャイズを学ばれたのですね。

川上

はい。当時、長谷川興産では加盟店開発の全国統括責任者として活動し、入社当時、会社全体で200店舗ほどの規模を、責任者として800店舗にまで成長させる活動しました。

浅野

4倍ですか? すごいですね!

川上

退社後は、コンサルティング会社を経て「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」をミッションに2008年にディライト・ジャパンを設立し、現在、全国様々なフランチャイズ本部へのコンサルティングを実施しています。

浅野

現在、どんな支援をフランチャイズ本部に提供されているのですか?

川上

弊社では、これからフランチャイズ展開を考えられている企業に対して、大きく分けて、2つの支援を行っています。
一つはフランチャイズ本部の構築展開支援コンサルティングです。

浅野

フランチャイズパッケージ作りの支援ですね。

川上

そうです。フランチャイズ展開する為には、ビジネスモデルがある一定の基準以上に達していなければなりません。まずは、フランチャイズ展開を開始する前に、そのビジネス自体がフランチャイズ展開できる可能性があるのか? その診断を実施しています。

浅野

診断を通じて、フランチャイズとしての可能性を分析されるのですね。

川上

そうです。可能性があると診断した場合、フランチャイズ化に向けたロードマップを作成し、フランチャイズ本部として必要な本部機能や人材教育、マニュアル、研修、各種ルールの整備を実施し、加盟店の開発が自社でできる所までお手伝いさせて頂いております。

浅野

加盟開発の自社内製化をお手伝いされているのですね。この点が重要ですよね。いくらパッケージを作っても、加盟店が募集出来なければ、フランチャイズ本部は成長出来ませんからね。

川上

そうなんです。それに加えて、弊社ではフランチャイズアカデミーという勉強会を開催しています。

浅野

以前、私も一度、講演させて頂いた勉強会ですね。

川上

そうです。参加されるフランチャイズ本部は規模や業種業態は異なりますが、フランチャイズと言う仕組みを活用している以上、それぞれのフランチャイズ本部が抱える課題は共通します。

浅野

そうですよね。皆さん、同じ様な壁に当たりますからね。

川上

はい。ただ、業態がかぶると各社なかなかノウハウの流出を懸念しますので、1業態1社限定とさせて頂き、加盟店開発やSVについての勉強会を毎月各業界の専門家をお呼びして開催しております。

浅野

それは良い取り組みですよね。では、これまでのFC本部の立ち上げに携わった経験をお話頂けますか?

川上

長谷川興産在籍時は、「おそうじ本舗」ブランドの立ち上げを経験しました。その後は、宅配クリーニング、モールでの洗車業態、飲食、マンション管理、産業油の買い取り、訪問医療マッサージ、個別指導学習塾、襖障子網戸の張り替え、障がい者の放課後等デイサービス、ヨガ & ピラティス、移動販売のなどの業態をお手伝いしています。

浅野

幅広い事業分野のご支援をされてきたのですね。具体的にはどのような支援をされましたか?

川上

私が直接加盟店開発の現場に入って一緒にスキームを作り上げる場合と、指導アドバイスのみの場合があります。今まで法人、個人会わせて約800店くらいの加盟店開発の現場には立ち会っているかと思います。

浅野

ハンズオンで、手取り足取り、現場指導する事もされているのですね。すばらしい。ちょっと視点を変えて、川上さんが考えるフランチャイズの本質とはどういうものか? その点に関して、お聞かせください。

川上

私はフランチャイズビジネスの本質は「三方よし」の精神にあるのではないかと思っています。世間良し、加盟店良し、本部良しと言うことが重要だと考えています。

浅野

原理原則ですよね。

川上

はい。ただ順番には気をつけたいですねお客様(世間)が喜ぶからサービスにお金を支払う、お客様がお金を支払うから加盟店が潤う、加盟店が潤うから本部が運営できる。順番が逆になっている本部も見受けられます。

浅野

そうですね。本部が儲かる為に、加盟店が存在する様な本部ですね。

川上

そうです。その場合、フランチャイズ本部の長期的な繁栄は当然無いと思います。

浅野

同感です。次にフランチャイズ本部が成功する為には、いくつもの条件があると思いますが、特に重要な点や必要な視点は何だとお考えですか?

川上

基本的に社会性と経済性の両輪が必要だと考えます。社会性とは、社会に必要とされている事業か否かです。

浅野

社会に求められてこそ、収益も上がると言う事ですね。

川上

そうです。もっと言えば、フランチャイズビジネスは理念共同体だとよく言われますが、経済性だけが高い事業と言うのはやはり経済性だけを重視している加盟希望者の方々が多く加盟されるケースが多いです。

浅野

単に収益性だけに目がいく加盟店の集まりになってしまうと言う事ですね。

川上

はい。ですから、単に経済面のみに反応した方々が集まれば、事業に対する思い入れが比較的低い為、環境の変化に対応出来ないチェーンになりがちです。

浅野

確かに、事業がうまくいかなくなった時、そのチェーンの本当の力が浮き彫りになりますね。

川上

正にそうなんです。ですから、社会性が高い事業の場合、事業の中身や本部の理念、考え方に共感された方が仲間になってくれます。サービスが好きで経営している場合、上手くいけばどんどん展開頂けますし、仮に多少事業的に厳しい状況となった場合でもしっかり足下をみて着実に経営されるケースが多いと思います。ですから、そう考えるとやはり社会性と経済性の両輪が大切なのではないかと思う訳です。

浅野

弊社も、収益性だけでなく、企業家として使命感を持って取り組める事業かどうかを、ATカンパニーが支援する事業の選定基準の一つとしています。川上さんが本部支援を決定する際に、重視している点は何ですか?

川上

いくつかあるのですが、一つにフランチャイズ本部としての事業の展開動機、目的に着目しています。次に、本部の社長の人間力やタイプもしっかりと見極めています。

浅野

確かに、どんな人が社長がどんな想いで事業を展開しているのかは本当重要ですね。フランチャイズは加盟店が本部へ経営の一部機能をアウトソーシングしているのですから。

川上

その他には、直営店の運営状況、直営店の実績はしっかりと確認しています。直営がしっかり確立されていないと加盟店が開業後に苦戦することは容易に想像できます。改善することで魅力的なモデルにまでブラッシュアップできるかも含めて分析しています。

浅野

その他にもありますか?

川上

その他には、本部人財の有無や本部体制に関しても、重視していますね。

浅野

伸びるフランチャイズ本部の特徴みたいなものはありましたか? 成功しているフランチャイズ本部の社長に共通するものなどあったらお聞かせ下さい。

川上

あくまでも私の経験上の話ですが、いくつかの特徴があると思います。まずはじめに人間力がある社長。やはり、本部社員はもちろん、加盟店からも非常に信頼されている、やはり頼りにされている方が多いかと思います。
次に突破力でしょうか。これは問題解決力と言っても良いかと思いますが、フランチャイズ展開は直営展開と違い全くの他人と一緒に事業を行って行かなければなりません。そう言った部分では本部と加盟店間の課題、問題を解決し突破する能力が非常に高い方が多いかと思います。更には情報収集力。加盟店オーナーの売上につながる次の一手はもちろんですが、常に様々な情報を収集されています。そして、行動力と自己管理能力ではないでしょうか? 私が知っている成功されているフランチャイズ本部の社長は非常に身体を鍛えて自身を管理している方々が多いです。

浅野

フランチャイズ本部の社長ということに限らず、成功する経営者に共通する点ですね。

川上

はい。ただポイントはそれらのバランスでしょうか。

浅野

バランスも重要ですね。最後に、加盟店サイドのお話をしたいと思います。コンサルタントの立場から、仮に、加盟候補者が良いフランチャイズ本部を見分ける為に、役に立つ視点は何ありますか? 何に気をつけて本部を選定するのが良いと思いますか?

川上

先ず一つ目は加盟店との面談をしっかり行ってくれる本部です。

浅野

話を聞いてくれる。もしくはちゃんと話を聞き、関係を構築しようとする姿勢のある本部は良い本部ですよね。

川上

次に企業体質がルーズでないか、は確認すべきです。時間に正確であったり、身だしなみや整理整頓がしっかりと出来ていることなど、当たり前の点を見るべきです。

浅野

ルーズな会社は色々な点でルーズになりますからね。

川上

そうなんです。それに関連して、レスポンススピードは注意すべきですね。特に加盟検討中の本部の対応においてです。なぜならば、加盟して、事業を開業した後の加盟店の相談に対してのレスポンススピードが加盟前のレスポンスより早くなることは無いですから!

浅野

それは本当にそう思います。加盟を取りたいと考えている時以上に、加盟後のフォローがスピーディーなることは無いですよね。次に、フランチャイズ加盟に向かない方は実際にいると思うのですが、どんな方がフランチャイズに向き、どんな方が向かないとお考えですか?

川上

今まで4000人近くの加盟店オーナーと色々お話をしてきましたが向かない人のパターンはある程度決まっています。一つに、本部の指導に対して素直に行動できない人。これはフランチャイズ本部が今までやってきた実績、ノウハウを買っている訳なので素直に行動できない人は成功確率が低くなります。

浅野

自己流に走る方ですよね。

川上

次に行動量が少ない方も厳しいですね。結果を出す為の行動量が少なければ、良い場合も、悪い場合も結果が出るのが遅くなります。例えば、多少資金に余裕があってもスタートからしっかりとした営業面の努力は必要です。

浅野

ある種のどん欲さですね。結果に対する。

川上

はい。次に他責の人は根本的に成功出来ないですね。フランチャイズの業界では「失敗したら本部のせい、成功したら自分のお陰」と言う言葉がありますが、失敗を本部のせいにしても何も解決しませんし、その方が失敗したことを本部のせいにしても何も解決しません。経営者なのですから、フランチャイズといえども依存体質、他責の方は厳しいかと思います。

浅野

人生と同じですね。

川上

正に人生と一緒です。最後に自社の強みがわかっていない方も成功確率は低いと言えます。自社の強みを活かせる事業につけるかどうかで結果は随分変わってくると思います。例えば、営業が苦手な方が営業納涼区の必要なビジネスに参入しても苦戦することが目に見えています。自分自身の強みを知る、棚卸しをされることをお勧めします。

浅野

最後に、フランチャイズ業界に対して、何かビジョンというか、夢みたいなものはありますか?

川上

フランチャイズの業界はどうしてもグレーにみられがちです。弊社のミッションは、「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」というのを掲げています。
そのミッションを基準として様々な方向性を考えておりますが、今後は弊社が「フランチャイズアカデミー」で行っているような、本部もフランチャイズ本部について学べる環境、加盟希望者は経営者として少しでも成功確率をあげて行く為の環境づくりを行いたいですね。

浅野

ありがとうございました。大変良い時間でした。

川上

ありがとうございました。

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ATカンパニー株式会社
フランチャイズという経営手法を駆使した経営支援を行う。企業・起業家に対し、無報酬でフランチャイズ情報の提供を行う独自のビジネスモデルを構築。
数多くの企業、起業家を成功に導いている。
  • 設立:2009年3月19日
  • 所在地:東京都千代田区外神田1-18-19 新秋葉原ビル 3階
  • 電話番号:03-3526-2980
  • 資本金:1,000万円(グループ全体3,700万円)