フランチャイズのためになる企業インタビュー vol.1 フランチャイズビジネスにおける労務管理の重要視すべき視点 エール労務サービス 兼峰大輔 × ATカンパニー 浅野忍圡

労務管理をしっかりと行っている本部とそうでない本部の違いはスーパーバイジング

浅野

今回はフランチャイズビジネスにおける労務管理に関して、お話をお聞き出来ればと思います。よろしくお願いします。

兼峰

よろしくお願いします。

浅野

先ずは兼峯さんの経歴を教えてください。

兼峰

結婚を期に介護業界に転職したことをきっかけに、介護現場で「人」に関する問題が多いことに直面しました。その時、そのような多くの「人」に関する問題を解決したいとの想いから介護事業に特化した社労士事務所「エール労務サービス」を開業しました。
その後、介護のフランチャイズ最大手の本部である日本介護福祉グループの取締役に就任し、全国800事業所の介護サービスの開設や労務管理の面で経営に関与してきました。現在は株式会社ディライト・ジャパンの執行役員としてフランチャイズモデルの構築支援を行っております。専門分野は介護・障害・保育・整骨院などの制度ビジネスのFCのモデル構築ですね。また、社労士の知識を活かした賃金制度や評価制度のプランニングなど、労務リスクを回避する経営労務監査を得意としています。

浅野

ありがとうございます。労務管理の面からフランチャイズモデルを構築する事は現在においてすごく大切な視点ですよね。ここが軽視されると、将来的にチェーンが崩壊してしまいますから。

兼峰

そうなんです。

浅野

では、具体的にお聞きしたいのですが、フランチャイズ本部で役員をされていていた経験を踏まえて、労務管理をしっかりと行っている本部とそうでない本部では、どんな点に違いが現れるでしょうか?

兼峰

多く見られるケースが、スーパーバイザーだと思います。スーパーバイザーは業態にもよるかもしれませんが、労働時間が不規則なケースが多く、本部として労務上のルールを明確にしておかないと無用なトラブルが起こり、その対応に多くの時間を割くことになります。
例えば、残業代の未払いで労働基準監督署に駆け込まれたり、長時間労働やストレスなどで従業員がうつ病を誘発したりと、長期的に見れば優秀な人材が戦線離脱するケースも少なくありません。
結果、離職率が高くなり、教育しても人が辞めていく負のスパイラルに陥り、同時に加盟店のフォローが行き届かなくなるという事態になります。まずは労務管理の側面から組織作りをしっかり行うことが「強いフランチャイズ本部」にしていく一番の近道かと思われます。

浅野

労務管理をしっかりと行わないと、本部として提供すべきサービスが提供出来なくなると言う事ですね。それでは、次に新規事業検討者がフランチャイズ加盟の判断をする場合、事業が成功するかどうかが重要な視点ですよね。その中で、私はフランチャイズ本部選定の際には本部の労務管理がしっかりと構築されているかも、きちんと確認すべき事項だと思うのですが、いかがでしょうか?

兼峰

はい。間違いありません。フランチャイズ本部は労務という側面でコンプライアンスを守ることが本来、信頼獲得の上でも大変重要だと思います。また、先にも述べたように離職が多いフランチャイズ本部の場合、ノウハウの蓄積も遅れ、加盟店へのフォロー体制も十分でなくなります。
数多く寄せられる相談の中で一番多いのが資金繰り。その次に多い相談は「人」のマネジメントを含む労務の問題や人間関係についてです。フランチャイズ本部自体が杜撰な労務管理をしている様では、本来は加盟店の経営相談に乗ることもできませんし、そもそも信用も出来ません。そういった意味でも健全な労務管理はフランチャイズ本部の中核となるノウハウと同じくらい重要な実務経験上のノウハウだと私は考えます。

浅野

本当にそうですね。では、事業検討者がフランチャイズ本部を選ぶ際に、フランチャイズ本部がしっかりと労務管理をしているかどうか? どのように見極めるのべきでしょうか?

兼峰

まずは離職率などをストレートに聞くのもいいでしょう。担当が頻繁に変わるというのはフォロー体制も十分に行き届かない可能性が高いです。
しかし、この質問はストレートすぎるので少し変化球を投げたほうがいいかもしれませんね(笑)
私だったら次のような質問をします。
「本部のSVを新規で採用するときにどのような募集方法をとっていますか?」
「新人の教育に専任の担当者がいますか?」
「教育にどれくらいの時間をかけていますか?」

これらの質問から読み取れるのは「人」の採用と教育をどれくらい重視しているかです。私の経験則から採用に費用と時間をかける本部、教育に熱心な本部は離職も少なく労務管理以前に同じマインドをもった人材が集まりやすく質の高いチームワークが構築されています。このような組織はマネジメントや労務管理も徹底されていて継続して高いパフォーマンスを提供してくれることでしょう。

浅野

すごく実践的で良いですね。参考になります。次に、フランチャイズ加盟店に目を向けたいのですが、フランチャイズビジネスを展開する、特に店舗ビジネスを展開されている加盟企業、もしくはこれからはじめる方々が労務管理の面で注意すべき重要な視点は何でしょうか?

兼峰

とくに労働集約性の高い、例えば介護事業などの肝は労務管理に尽きます。その中でも、人件費のコントロールが大きく経営に影響を与えます。ゆえに、店舗型ビジネスだと人件費を変動率化できているかがポイントになると思います。
たとえば繁忙時間帯に必要な人材が配置できていない、逆にそうでない時間帯に余分に人が配置されているなどシフト調整がうまくいかない店舗をよく目にしました。実はこれは採用段階での労働環境のミスマッチから起きる現象です。

浅野

そうそう。ありますよね。

兼峰

そうなんです。人件費コントロールをするためパートさんを多く採用したところ、今度は逆に働ける時間帯が限られ、シフトに隙間ができたりして、結局、その埋め合わせを社員がしなくてはいけなくなるという本末転倒なケースも見受けられます。結局、人件費を変動費化が出来てない。
パートさんに合わせるシフトではなく予め働いてほしい時間帯を明確に告げ、いくら経験者であっても店舗の希望する時間帯に働けないのであれば採用を見送るなどの判断も必要になります。特例をみとめると後々、他のパートさんから不満が出たり、そのシフトの隙間を埋めるための時間帯だけまた別のパートさんを雇用しないといけなかったりと逆に労務管理が煩雑で人件費がかかる場合もあるので注意が必要です。

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ATカンパニー株式会社
フランチャイズという経営手法を駆使した経営支援を行う。企業・起業家に対し、無報酬でフランチャイズ情報の提供を行う独自のビジネスモデルを構築。
数多くの企業、起業家を成功に導いている。
  • 設立:2009年3月19日
  • 所在地:東京都千代田区外神田1-18-19 新秋葉原ビル 3階
  • 電話番号:03-3526-2980
  • 資本金:1,000万円(グループ全体3,700万円)