フランチャイズのためになる企業インタビュー vol.2 工事費削減で劇的に初期投資を押さえるための重要な視点 アトレーション 山本 隆広 × ATカンパニー 浅野忍圡

工事コストの削減を行いながら、品質を保つための視点は5つあります。

浅野

企業インタビュー2回目となる今回は、山本さんに店舗出店に発生する工事費の削減方法についてお話を聞きたいと思います。宜しくお願いします。

山本

はい、宜しくお願いします。

浅野

まずは山本さんの経歴を教えて頂けますでしょうか?

山本

建築の専門学校を卒業して、住宅リフォームの営業や職人として工事現場で施工したり、デザイン会社での現場管理をしたりと色々経験しました。その後、経営コンサルティング会社にて工事費の最適化を行なう業務につきました。

浅野

工事について様々な経験をしているんですね。元々はこの業界に興味を持たれたのはなぜなんですか?

山本

元々インテリアやデザインが好きだったのと、工事は毎回違う内容の仕事が出来る為、興味を持ちました。それで、作り手側として現場で働いたり、見積を作って受注する供給側にいたりと色々な立場を経験しました。

浅野

業界全体を経験したのですね。

山本

そうなんです。ですが、業界を知れば知る程、顧客の立場に立った仕事がなされていない、自分がやりたかった事ではないとある時に気付きました。そこで真に顧客の立場に立った仕事が行なえる仕事は何かと探していたところ、工事費適正化コンサルティングに出会いました。

浅野

工事費の最適化の実績が凄いですよね。今までどれくらいの案件をこなしてどの様な実績を出したか教えて頂けますか?

山本

ありがとうございます(笑)。今まで行ったコストダウンの実績は550件以上で削減率は大体ですが平均23%でした。

浅野

ATカンパニーも両国から今の秋葉原にオフィス移転する際に、山本さんのコンサルティングを受けて当初1,500万円だった見積もりが850万円まで下がり大変驚きました。実に43%の削減ですからね! しかし、工事コストというのは発注側にはそのコストが適正であるかどうかの判断が難しいですよね。

山本

そうなんです。その理由の一つに工事業界の古い業界習慣があげられます。

浅野

具体的にはどんな業界習慣ですか?

山本

代表的なものとしては、業者と担当者で癒着や馴れ合いから業者からキックバック受け取っていたり、多段階の発注構造になっているため実務を行う会社が元請から強い圧力に苦しむ構造だったりする点です。内部構造が分からないため施主側で価格感が分かりにくく、発注する側はリスクとなる点が少なからずあるんです。

浅野

そこがポイントで、逆を言えば、改善の余地が多く残っている業界ということですね。

山本

その通りです。ですから、適切な施行会社へ発注できる構造が構築出来れば、もっと業界が良くなると確信しています。

浅野

山本さんが行っているコストダウン手法は他のコストダウンの会社のやり方とどのような点で違いがあるんですか?

山本

案件毎に適切なスキームを組む点が大きく違いますね。つまり、案件毎に最適な方法を考案しています。一般的なコストダウンコンサルティングは複数の業者から合見積もりを取って、その中で安い業者を選定して、コストダウンを図ります。

浅野

工事の場合には単に合見積もりを取るだけでは、大幅にコストを下げる事はできませんよね。

山本

そうなんです。私たちは業界の構造的な部分を考えて、施工会社側から強みを活かした形で提案が出来る様にコストの最適化を図ります。事例で言うと、商業施設に入る飲食店が撤退する際の原状回復工事は、区分の折衝や見積を見直したところ42%もの工事費削減に成功しました。

浅野

すごいですね。

山本

他には、毎月複数店舗の出店をするメガネチェーンでは、発注の構造的な見直しと競争環境を整えて坪単価が従来の半分になった例もあります。そのチェーンとは継続的に支援させていただいていますが、「最初からコンサルティングを受けていれば倍の出店が出来たじゃないか」と冗談ながら喜んでもらいましたね。

浅野

それはそう言いますよ! ただ、発注側の視点から言うと、コストダウンすると品質が下がるのではないか?と皆さん思いませんか?

山本

はい、そう思う方は多いですね。私自身、発注する側だった時期もあるので品質について不安になる気持ちはよく分かります。しかし、適切な業者を選定する事は品質向上に繋がるのです。

浅野

工事品質が上がるとは、誰も思いませんよね。

山本

そうなんです。多くのお客様は品質を確認する術さえ持ち合わせていません。ですから、コストを掛ければ品質は保持されると思ってしまっています。これは間違えなのです。

浅野

成果を図る際には正しい指標や視点を持ち合わせることが重要ですよね。工事品質をしっかりと見極める際にはどの様な視点が必要でしょうか?

山本

簡単にお伝えすると、過去実績、計画書類の内容、受注に向けた提案内容、工事中の社内チェック体制、保証内容・契約内容の確認などですね。これらをしっかりとした視点を持ちながら進められれば、品質も担保しながらコストダウンが可能です。 この視点については、コラムを書いていますのでそちらをご参照下さい。

浅野

それぞれの項目でも見るべき点が色々とあるのですね。それでは、コストダウンを進めた際に、反対に上手くいかなった時というのはどの様な時でしょうか?

山本

例えば、設計・デザインと施工を一緒に契約した場合、図面を他社に共有が出来ない事もあり、結果、他社の見積もりを取れず、コストダウンが実施できないケースもあります。そのため、設計と施行は別に発注することが最低限必要ですね。

浅野

なるほど。一社にまとめた方が便利だと考える事もまた、気をつけなければなりませんね。

山本

その他、知人からの紹介の工事業者を使っている場合も注意が必要です。私がある飲食店を担当した際に、その工事業者のHPを見るとその飲食店の実績しか載っていませんでした。後々に分かった事ですが、その工事業者は飲食店工事が専門ではなく、依頼された案件を他の専門業者に振っていただけでした。知り合いだからというだけで任せるとかえってコストが高くついてしまっているケースもあるのです。

浅野

要はコスト適正化というのは、適切な業者をきちんと探し、工事の都度、交渉を続けてPDCAを繰り返して行うことが重要といえるのですね。

山本

その通りです。ただし、しっかりとPDCA回している企業様は本当に少ないです。私の経験上、100件やっても全く下がらないのは1、2件くらいです。

浅野

フランチャイズの店舗ビジネスの場合、どの様な点に気をつければ良いでしょうか?

山本

そうですね、フランチャイズ本部の場合、中堅規模の工事業者と提携している場合が多いように感じます。中堅企業というのは、私の経験上、コストダウンの成果が出やすい規模です。

浅野

それはやはり発注が多重構造になっており、中抜きが多くなっているからですか?

山本

はい。担当者がいちいち動くのが面倒くさい、日本全国対応で一括で行っているという視点で業者を選んでいるからだと思います。

浅野

なるほど。

山本

また、FCの場合、本部の指定業者だったり、推奨業者がある場合がありますが、安易に信用しない方が良いでしょう。本部が業者からキックバックをもらっているケースもあるようです。もちろん、本部が一括で発注・購入することによりボリュームディスカウントが効いている場合もありますので、その見極めが重要だと思います。

浅野

本部のスタンスが問われますね。工事業者の選定、管理運用ができているFC本部かどうかはどの様に見極めるべきでしょうか?

山本

大きく分けると3点あると思います。1つは設計と施工が分離されている体制を組んでいること。2つ目は加盟検討者の取引がある施工会社も交えて公平な見積取得が出来ること。最後に出店エリアを加味して地場の適切な業者を紹介してくれることです。この3点を業者選定の最低条件としている本部は信用性が高いと考えられます。

浅野

先ほどボリュームディスカウントの話が出ましたが、やはりFCチェーンの様な複数店だとコストダウンの削減率も大きく変わってくるのでしょうか?

山本

そうですね、確かに機器や什器等は期間契約購買にすると、単店と比べてかなり安価に仕入れを行なう事ができます。工事の手間に関わる部分は本部の力によりますね。どれだけ本部が力を入れているかで削減率が大きく変わります。工事費は事業を始める上での初期投資の中で割合を大きく占めるため大変重要なポイントだと思います。

浅野

いずれにせよフランチャイズの加盟検討においても初期投資においてはしっかりとした準備と確認をして進めていく必要がありますね。工事のコストダウンを始めるにあたっては、どの様なタイミングで始めれば良いのでしょうか?

山本

出来るだけ早いタイミングで始めた方が良いですね。設計を依頼する段階から工事コストが左右されます。遅くとも着工の1カ月強前には本格的に動き出す必要があります。

浅野

ありがとうございます。最後に山本さんの今後に向けての考えをお聞かせ頂けますでしょうか?

山本

目先の案件だけをただ単にコスト削減するという事だけではなく、お客様の社内でコストダウンが出来る仕組・仕掛けが出来るようにしていきたいです。本来であれば、お客様の組織の中で完結してしまった方が一番ですからね。そのため、長期的に改善をしていきたいパートナーさんや社内にノウハウを確立したいお客様などをサポートしていきたいと考えています。

浅野

本日はありがとうございました。

山本

ありがとうございました。

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ATカンパニー株式会社
フランチャイズという経営手法を駆使した経営支援を行う。企業・起業家に対し、無報酬でフランチャイズ情報の提供を行う独自のビジネスモデルを構築。
数多くの企業、起業家を成功に導いている。
  • 設立:2009年3月19日
  • 所在地:東京都千代田区外神田1-18-19 新秋葉原ビル 3階
  • 電話番号:03-3526-2980
  • 資本金:1,000万円(グループ全体3,700万円)